30秒まとめ
- 不登校はどの子にも起こりうる(全国約30万人)
- フリースクールやICT学習が出席扱いになる場合がある
- 高校進学は通信制・定時制・高卒認定など選択肢が豊富
1不登校の現状|増え続ける不登校児童生徒
文部科学省の調査によると、不登校の児童生徒数は年々増加しており、小中学校合わせて約30万人に上ります。不登校は特別なことではなく、どの子どもにも起こりうる問題です。
不登校の定義
文部科学省の定義では、不登校とは「何らかの心理的、情緒的、身体的あるいは社会的要因・背景により、登校しない、あるいは登校したくてもできない状況にあるために、年間30日以上欠席した者」(病気や経済的な理由を除く)とされています。
不登校の主な原因
不登校のきっかけとなるもの
- いじめ:友人関係のトラブル、SNSでの問題
- 学業不振:授業についていけない、テストの不安
- 教師との関係:指導方法への不満、体罰
- 家庭環境:家庭内の問題、親子関係
- 無気力・不安:明確な原因がなく、漠然とした不安
- 発達特性:発達障害に伴う困難さ
2不登校に対する学校の義務と対応
学校が行うべき対応
学校には、不登校の児童生徒に対して学習機会の確保と支援を行う義務があります(教育機会確保法)。いじめや教師の不適切な対応が背景にある場合には、事実確認や再発防止も含めた対応が必要です。
学校に求められる対応
- スクールカウンセラーとの面談の機会を設ける
- 別室登校(保健室・相談室での学習)の環境を整える
- 学習プリントやオンライン授業の提供
- 家庭訪問やこまめな連絡による見守り
- いじめが原因の場合は調査を実施しいじめ対策を講じる
- 教育支援センター(適応指導教室)への案内
学校の対応が不十分な場合
- 「本人の問題」として何も対応しないのは不適切
- いじめが原因なのにいじめ調査をしない
- 無理やり登校させようとする登校圧力
- 保護者への連絡や相談が一切ない
学校の対応が不十分な場合は、教育委員会への相談や弁護士への相談を検討しましょう。学校の対応が不十分な場合、感情的に抗議をしても対応してもらえないことがほとんどです。現在どのような状況にあるのかを冷静に整理しながら、学校に求める内容を提示することが重要です。
3出席日数への影響と対応策
不登校になると出席日数が不足し、進級や卒業、高校受験への影響が心配になります。もっとも、状況によっては、学校外での学習や別室登校が出席扱いになることがあり、早めに学校と協議することで不利益を減らせる場合があります。
出席扱いになるケース
以下の条件を満たす場合、学校外の学習でも出席扱いにすることが可能です。
出席扱いにできる場合
- 教育支援センター(適応指導教室)への通所
- フリースクールへの通所(校長の判断による)
- ICT等を活用した自宅学習(一定の要件を満たす場合)
- 別室登校(保健室登校・相談室登校)
出席扱いにするかどうかは校長の裁量によるため、学校との相談が必要です。文部科学省の通知(令和元年10月25日)でも、学校外での学習を出席扱いとすることが推奨されています。学校もどこまで出席扱いにできるのか正確に理解できていないことが少なくありません。文科省の通知などの根拠を踏まえたうえで、学校と協議する必要があります。
4内申点・成績への影響
| 項目 | 影響 | 対策 |
|---|---|---|
| 定期テスト | 受けられないと成績がつかない | 別室での受験を相談・レポート提出で代替 |
| 内申点 | 出席日数不足で評定が低くなる | 出席扱いになる学習を活用 |
| 通知表 | 「評定不能」となることがある | 提出物やテストで評価してもらう |
5進路への影響と選択肢
不登校であっても、進路の選択肢が直ちに閉ざされるわけではありません。ただし、内申点、欠席状況、面接での説明などが関係することがあるため、早期の対応が必要です。
高校受験への影響
不登校からの高校進学の選択肢
- 通信制高校:自宅学習が中心。スクーリング(登校日)は少ない
- 定時制高校:夜間や午前・午後に授業を行う
- 全日制高校:不登校枠を設けている学校もある
- サポート校:通信制高校と連携し、学習をサポートする民間の教育施設
- 高卒認定試験:高校を卒業しなくても、大学受験資格を得られる
都道府県によっては、高校入試で不登校の生徒に配慮した特別選抜を実施しているところもあります。「もう進学は難しい」と早い段階で決めつけることなく、進路指導の先生やスクールカウンセラーに相談してみましょう。
6よくある質問
不登校でも進級・卒業できる?
義務教育(小中学校)では出席日数にかかわらず卒業できます。高校は出席日数や単位取得の要件があるため、通信制への転校や高卒認定試験の利用を検討する場合があります。
フリースクールの費用は?
月額3〜5万円程度が一般的ですが、施設により大きく異なります。自治体によっては補助金制度がある場合もあります。教育委員会の判断で出席扱いになれば内申点への影響も軽減されます。フリースクールに通えば当然に出席扱いになるというわけではないため、学校との事前協議と記録化が重要です。
不登校の原因が教師にある場合は?
教師の不適切な指導(体罰、暴言、いじめへの不対応等)が不登校の原因である場合、学校や教育委員会に対して改善を求めることができます。改善されない場合は弁護士を通じた法的対応も検討が必要です。法的対応も視野に入れる場合には、いつ・どこで・誰が・何をしたのかを具体的に整理しておき、連絡帳、メール、録音、診断書、欠席状況などの資料を残しておくことが重要です。
7保護者ができること
保護者ができる具体的な対応
- 子どもの気持ちを受け止める:「怠けている」と決めつけない
- 無理に登校させない:まずは安心できる環境をつくる
- 学校と連携する:担任やスクールカウンセラーと定期的に情報共有
- 学校外の居場所を探す:フリースクール、教育支援センターなど
- 専門家に相談する:スクールカウンセラー、児童精神科、弁護士
- 保護者自身のケアも忘れない:保護者の会への参加など
8まとめ
この記事のまとめ
- 不登校はどの子にも起こりうる問題(約30万人)
- 学校には学習機会の確保と支援を行う義務がある
- フリースクールやICT学習が出席扱いになる場合がある
- 高校進学は通信制・定時制・高卒認定など選択肢が豊富
- 学校の対応が不十分なら教育委員会や弁護士に相談を
- 子どもを責めず、まず安心できる環境をつくることが大切
不登校は、適切な対応と支援があれば乗り越えられる問題です。学校との交渉やお子さんの権利を守るために、弁護士もお力になれます。
参考リンク(一次情報)