30秒まとめ

  • 学校事故には災害共済給付制度で医療費の4割が給付される
  • 学校側に過失がある場合は損害賠償請求が可能
  • 公立学校は設置者(市区町村等)に、私立は学校法人に請求

1学校事故とは?どんな事故が起こるのか

学校事故とは、授業中、休み時間、登下校中、学校行事中など、学校生活に関連して児童・生徒がケガをする事故をいいます。独立行政法人日本スポーツ振興センターの統計によると、年間約100万件以上の学校事故が報告されています。


よくある学校事故の例

  • 体育の授業中:跳び箱での骨折、球技中の衝突、プールでの事故
  • 休み時間:遊具からの転落、児童同士の衝突
  • 部活動中:練習中のケガ、熱中症
  • 学校行事:遠足・修学旅行中の事故、運動会での事故
  • 登下校中:交通事故、転倒
  • 理科実験中:薬品による事故、火傷

2学校事故で使える補償制度

①災害共済給付制度(日本スポーツ振興センター)

ほとんどの学校が加入している災害共済給付制度は、学校管理下で発生した事故について医療費等を給付する制度です。

給付の種類 内容
医療費 医療保険の自己負担分 + 療養に要する費用の1割(合計4割が給付)
障害見舞金 88万円〜4,000万円(障害の等級による)
死亡見舞金 3,000万円(通学中の場合は1,500万円)


申請の注意点

災害共済給付の申請は学校を通じて行います。保護者から学校に事故の報告をし、学校が日本スポーツ振興センターに申請する流れです。初診から2年以内に申請する必要があります。医療費の自己負担が1,500円以上(保険診療3割負担で5,000点以上)の場合に給付対象となります。ここで重要なのは、「学校に任せる」という意識を持たずに、事故日、事故場所、事故態様、治療状況などを自分でも具体的に記録しておくことです。学校任せにしておくと、適切な申請をしてもらえないことがあるためです。不安があれば弁護士に相談することも選択肢です。

②学校側への損害賠償請求

災害共済給付だけでは補いきれない損害がある場合、学校や教員の過失を理由に損害賠償請求をすることも可能です。


損害賠償が認められる条件

  • 教員の指導上の過失がある(安全配慮義務違反)
  • 学校の施設・設備の管理に不備がある(設置管理の瑕疵)
  • 事故の発生を予見できたにもかかわらず対策を怠った
  • 事故後の応急処置が不適切だった

3公立学校と私立学校で異なる請求先

学校の種類 請求先 法的根拠
公立学校 設置者(市区町村・都道府県) 国家賠償法1条・2条
私立学校 学校法人・教員個人 民法709条・715条

公立学校の場合、教員個人に対する損害賠償請求はできません(国家賠償法の規定により、設置者が責任を負います)。

4損害賠償で請求できる項目

学校事故で請求できる損害賠償の主な項目は以下のとおりです。


請求できる損害の種類

  • 治療費:通院・入院にかかった費用
  • 通院交通費:病院への往復交通費
  • 付添看護費:保護者の付き添いに対する補償
  • 入通院慰謝料:ケガの治療期間に応じた精神的苦痛の慰謝料
  • 後遺障害慰謝料:後遺症が残った場合の慰謝料
  • 逸失利益:後遺症により将来の収入が減少する分の補償
  • 休業損害:保護者が仕事を休んだ場合の補償

5学校事故の解決までの流れ

STEP 1

事故の記録と証拠の確保

事故の状況、ケガの写真、診断書、学校からの報告書などを保管します。事故直後の記録が最も重要です。いつ、どこで、何があったのか、教員はその場にいたのかなどまで、できるだけ具体的に記録しておくと有益です。可能であれば、ケガの写真、診断書、学校からの連絡文書、保健室記録、事故報告書、目撃者情報、録音やメールなども保存してください。

STEP 2

災害共済給付を申請する

学校を通じて日本スポーツ振興センターに災害共済給付を申請することを検討します。ただし、給付を受けることと、学校側の法的責任を追及することは別の問題です。災害共済給付を受けたからといって、当然に損害賠償請求ができなくなるわけではありませんが、支払いを受けた場合には給付が調整されることがあります。

STEP 3

学校・教育委員会と交渉する

事故の経緯説明と再発防止策を求めます。賠償が必要な場合は交渉を行います。初動で感情的な抗議を前面に出すと、学校側が防御的になり、かえって事実確認が難しくなることがあります。そのため、まずは、事故日時、場所、関係児童生徒、立会教員、事故の経緯、事故後の対応、作成済み資料の有無、再発防止策など、確認事項を整理したうえで、できればメールや書面で回答を求めるのが望ましい対応です。

STEP 4

弁護士に相談・示談交渉

学校側が過失を認めない場合や、賠償額に納得がいかない場合は弁護士に依頼して交渉を行います。特に骨折、歯の欠損、顔面の傷、後遺障害の可能性がある事案、長期通院が必要な事案、学校側が責任を争っている事案、学校とのやり取りが既にこじれている事案では、早い段階で弁護士が入った方がよい場合が少なくありません。

STEP 5

裁判(訴訟)

示談が成立しない場合は、裁判所に損害賠償請求訴訟を提起します。裁判では、学校側の注意義務違反や施設管理上の不備、相当因果関係、損害額を具体的に主張立証する必要があります。そのため、裁判に進む可能性がある案件では、初動段階から「後で証拠として活用できる形で記録を残す」ことが重要になります。

6よくある質問

災害共済給付の申請は誰がする?

学校を通じて日本スポーツ振興センターに申請します。保護者が直接申請するのではなく、学校の事務局に必要書類を提出して申請を依頼する形です。学校が非協力的な場合は弁護士に相談してください。また、学校の説明が不十分であったり、対応が遅かったりする場合には、そのやり取り自体を記録化しておくことが重要です。

学校事故で後遺症が残った場合は?

災害共済給付から障害見舞金(最大4,000万円)が支給されます。さらに、学校側の過失による事故であれば、損害賠償請求で逸失利益や慰謝料も請求可能です。また、学校側の法的責任が認められるときは、別途、後遺障害慰謝料や逸失利益が問題になります。特に、歯、顔面、神経症状、可動域制限などが残る場合には、早めに弁護士へ相談した方がよいケースが多いです。

損害賠償請求の時効は?

損害および加害者を知った時から5年(2020年4月以降の事故)です。症状固定が遅い場合や後遺症が判明した場合は、起算点がずれることがあります。時効が近い場合は早めに弁護士に相談してください。

学校事故のケガでお困りの方へ

学校事故では、単に学校へ苦情を伝えるだけでは、補償や損害賠償の問題が整理されないまま終わってしまうことがあります。当事務所では、災害共済給付の手続の見通しから損害賠償請求の可否、示談交渉や訴訟対応まで、事案に応じてサポートしています。
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7損害賠償請求の時効


時効に注意

  • 公立学校(国家賠償法):損害および加害者を知った時から3年(または事故から20年)
  • 私立学校(民法):損害および加害者を知った時から5年(または事故から20年)
  • 災害共済給付:初診日から2年

時効が迫っている場合は、早急に弁護士にご相談ください。

8まとめ


この記事のまとめ

  • 学校事故には災害共済給付制度が利用できる
  • 災害共済給付で足りない場合は損害賠償請求が可能
  • 公立学校は設置者(市区町村等)に、私立は学校法人に請求
  • 学校側の安全配慮義務違反が損害賠償の要件
  • 事故直後の記録と証拠の確保が重要
  • 時効があるため、早めの対応を

学校事故でお子さんがケガをされた場合、適切な補償を受けるために早めの対応が重要です。災害共済給付の手続きから損害賠償請求まで、弁護士がサポートいたします。