30秒まとめ
- 配偶者+子どもの場合、配偶者1/2、子ども全員で1/2
- 配偶者は常に相続人。他は第1順位(子)→第2順位(親)→第3順位(兄弟姉妹)
- 兄弟姉妹には遺留分がないため、遺言で排除可能
1法定相続分とは?基本ルール
法定相続分とは、民法で定められた、各相続人が遺産を受け取る割合のことです。遺言書がない場合、遺産分割の基準となる重要なルールです。
ただし、法定相続分はあくまで「目安」であり、遺産分割協議で相続人全員が合意すれば、法定相続分と異なる割合で分けることも可能です。
法定相続分が適用される場面
法定相続分は、①遺言書がなく遺産分割の話し合いの基準とする場合、②遺産分割調停・審判で裁判所が分割を決める場合、③遺留分の計算の基礎とする場合に重要になります。
2相続人の順位と法定相続分
法定相続人には優先順位があり、上位の相続人がいる場合、下位の人は相続人にはなりません。配偶者は常に相続人となります。
| 相続人の組み合わせ | 配偶者の相続分 | 他の相続人の相続分 |
|---|---|---|
| 配偶者 + 子ども(第1順位) | 1/2 | 1/2(子ども全員で均等分割) |
| 配偶者 + 父母(第2順位) | 2/3 | 1/3(父母で均等分割) |
| 配偶者 + 兄弟姉妹(第3順位) | 3/4 | 1/4(兄弟姉妹で均等分割) |
| 配偶者のみ | 全額 | — |
| 子どものみ(配偶者なし) | — | 全額(子ども全員で均等分割) |
3具体例で見る法定相続分の計算
遺産総額が6,000万円の場合を例に、ケース別の法定相続分を計算してみましょう。
ケース①:配偶者+子ども2人
計算結果
- 配偶者:6,000万円 × 1/2 = 3,000万円
- 子ども1人あたり:6,000万円 × 1/2 × 1/2 = 1,500万円
ケース②:配偶者+父母
計算結果
- 配偶者:6,000万円 × 2/3 = 4,000万円
- 父母1人あたり:6,000万円 × 1/3 × 1/2 = 1,000万円
ケース③:配偶者+兄弟姉妹3人
計算結果
- 配偶者:6,000万円 × 3/4 = 4,500万円
- 兄弟姉妹1人あたり:6,000万円 × 1/4 × 1/3 = 500万円
4特殊なケースの法定相続分
①代襲相続
相続人となるべき子どもや兄弟姉妹が被相続人より先に亡くなっている場合又は一定の事情により相続権を失った場合、その子ども(孫・甥姪)が代わりに相続します。これを代襲相続といいます。代襲相続人の相続分は、もともとの相続人と同じです。
②非嫡出子(婚外子)
婚姻関係にない男女の間に生まれた子ども(非嫡出子)の相続分は、嫡出子と同等です。以前は嫡出子の半分でしたが、2013年の最高裁判決と民法改正により平等になりました。
③養子
養子は実子と同じ相続分を持ちます。普通養子の場合は、養親だけでなく実親からの相続権も維持されます。
④半血兄弟姉妹
父母の一方のみを同じくする兄弟姉妹(半血兄弟姉妹)の相続分は、父母双方を同じくする兄弟姉妹の1/2です。
5遺留分との関係
法定相続分と混同しやすいのが「遺留分」です。遺留分とは、一定の相続人に法律上保障された最低限の取り分のことです。
| 相続人 | 遺留分の割合 |
|---|---|
| 配偶者のみ | 1/2 |
| 子どものみ | 1/2 |
| 配偶者+子ども | 各自の法定相続分 × 1/2 |
| 父母のみ | 1/3 |
| 兄弟姉妹 | なし(遺留分なし) |
遺留分侵害額請求の期限
遺留分侵害額請求権は、相続の開始および遺留分を侵害する贈与や遺贈があったことを知った時から1年間で時効消滅します。また、相続開始から10年で除斥期間が経過します。
6よくある質問
内縁の妻(夫)に相続権はある?
法律上の婚姻関係がない内縁の配偶者には相続権はありません。内縁の配偶者に財産を残したい場合は、遺言書の作成が必要です。
養子にも相続権はある?
はい、養子も実子と同じ相続権を持ちます。法定相続分も実子と同一です。ただし、相続税の計算では養子の数に制限があります(実子がいる場合は1人まで、いない場合は2人まで)。
相続に関わりたくない場合はどうすればいいですか?
相続開始前に相続分を放棄することはできません(民法上無効)。相続開始後であれば相続放棄の手続き(家庭裁判所への申述)が可能です。ただし、相続放棄には期間制限があるので注意が必要です(自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内に手続きが必要)。
7法定相続分どおりに分けないケース
実際の相続では、法定相続分どおりに分けないことも多くあります。
法定相続分と異なる分割が行われるケース
- 遺言書がある場合:遺言の内容が法定相続分に優先する
- 特別受益がある場合:生前に多額の贈与を受けた相続人の取り分を調整
- 寄与分がある場合:被相続人の介護や事業を手伝った相続人の取り分を増やす
- 遺産分割協議で合意した場合:相続人全員が納得すれば自由に分割可能
8まとめ
この記事のまとめ
- 法定相続分は民法で定められた相続の割合
- 配偶者は常に相続人。他の相続人には順位がある
- 配偶者+子どもの場合、配偶者1/2、子ども1/2
- 非嫡出子・養子も実子と同等の相続分
- 兄弟姉妹には遺留分がない
- 遺産分割協議で合意すれば法定相続分と異なる分割も可能
法定相続分の計算は一見シンプルですが、代襲相続や特別受益がある場合など、複雑になるケースは少なくありません。正確な相続分の把握と適切な遺産分割のために、弁護士にご相談ください。