30秒まとめ

  • 相続放棄の期限は相続開始を知ってから3ヶ月以内
  • 遺産を使ったり処分すると相続放棄できなくなる(単純承認)
  • 相続放棄しても、一定の場合には生命保険金・遺族年金を受け取れる

1相続放棄とは?基本的な仕組み

相続放棄とは、亡くなった方(被相続人)の財産も負債も一切相続しないことを、家庭裁判所に申述して法的に認めてもらう手続きです。

相続放棄をすると、最初から相続人ではなかったものとみなされるため、プラスの財産(預貯金・不動産など)もマイナスの財産(借金・保証債務など)についても受け継ぐことはありません。


相続放棄が必要な主なケース

以下のような場合には、相続放棄の検討が必要になることが多いといえます。

  • 借金が多い:遺産よりも借金のほうが多い場合
  • 保証債務がある:被相続人が連帯保証人になっていた場合
  • 相続トラブルに巻き込まれたくない場合
  • 特定の相続人に財産を集中させたい場合
  • 事業承継のため、特定の相続人に事業用資産を集約したい場合

2相続放棄の期限|3ヶ月以内が原則

相続放棄には厳格な期限があります。


相続放棄の期限

自己のために相続の開始があったことを知った時から3ヶ月以内に、家庭裁判所に申述する必要があります。この期間を「熟慮期間」といいます。


「知った時」とは?

通常は「被相続人が亡くなったことを知った日」が起算点となります。しかし、以下のような場合には例外的な判断がなされることがあります。疎遠だった親族が被相続人であり、自らが相続人であることを後から知った場合:「自分が相続人であることを知った日」が起算日になることもあります。また、後から借金や保証債務の存在を知った場合:「借金や保証債務の存在を知った日」が起算日となる場合もあります。

期限の延長(熟慮期間の伸長)

3ヶ月以内に相続財産(預貯金・不動産・借金等)の調査が終わらない場合は、家庭裁判所に熟慮期間の伸長を申し立てることができます。期限内に、かつ適切に申し立てれば、実務上は認められるケースが多いといえます。

3相続放棄の手続きの流れ

STEP 1

必要書類を準備する

被相続人の住民票除票(または戸籍附票)、被相続人の死亡の記載がある戸籍謄本、申述人の戸籍謄本、相続放棄申述書などを準備します。

STEP 2

家庭裁判所に申述する

被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に、相続放棄の申述書と必要書類を提出します。費用は収入印紙800円と郵便切手代です。

STEP 3

照会書に回答する

裁判所から送られてくる照会書(質問書)に回答して返送します。相続放棄の意思や期限遵守の有無などが確認されます。

STEP 4

相続放棄申述受理通知書を受け取る

申述が受理されると、裁判所から「相続放棄申述受理通知書」が届きます。債権者への対応(借金の返済請求への対応等)にはこの通知書のコピーを提示することが一般的です。

必要書類一覧


相続放棄に必要な書類

相続放棄に必要な書類は以下のとおりです。

  • 相続放棄申述書(裁判所のHPからダウンロード可能)
  • 被相続人の住民票除票(または戸籍附票)
  • 被相続人の死亡の記載がある戸籍謄本
  • 申述人の戸籍謄本
  • 収入印紙800円分
  • 郵便切手(裁判所により異なる。数百円程度)

4相続放棄の注意点


相続放棄で絶対にやってはいけないこと

  • 遺産を使う・処分する:遺産の一部でも使ったり処分すると、「単純承認」とみなされ相続放棄ができなくなる
  • 遺産分割協議に参加する:協議に参加するだけで単純承認とみなされるリスクがある
  • 被相続人の借金を返済する:遺産から借金を返すと単純承認とみなされる可能性がある
  • 期限を過ぎる:3ヶ月の熟慮期間を過ぎると原則として放棄できない

①相続放棄は撤回できない

一度受理された相続放棄は、原則として撤回・取消しができません。慎重に判断する必要があります。ただし、詐欺・強迫による場合は取り消せることがあります。

②次順位の相続人への影響

相続放棄をすると、次の順位の相続人に相続権が移ることがあります。例えば、子ども全員が相続放棄すると、被相続人の父母が相続人になります。父母も放棄すると兄弟姉妹に移ります。


次順位の相続人への連絡

借金が理由で相続放棄をする場合は、次の順位の相続人にも事情を伝え、相続放棄を検討するよう知らせることが望ましいといえます。次順位の相続人が知らない間に借金を相続してしまうのを防ぐためです。

③限定承認という選択肢

プラスの財産とマイナスの財産のどちらが多いかわからない場合は、「限定承認」という方法もあります。これは、相続財産の範囲内でのみ債務(借金・負債)を負担する方法です。ただし、相続人全員で行う必要があり、手続きが複雑なため、弁護士への依頼が推奨されます。

5よくある質問

相続放棄したら生命保険金は受け取れる?

はい、受取人が指定されている生命保険金は相続財産ではなく受取人固有の財産なので、相続放棄しても受け取れます。ただし、相続税の計算上は「みなし相続財産」として課税対象になります。

3ヶ月の期限を過ぎても相続放棄できる?

原則できませんが、借金の存在を知らなかった等の「特別の事情」がある場合は、知った時から3ヶ月以内であれば認められることがあります。裁判例でも認容された例があります。

相続放棄したら次の順位の人に相続権が移る?

はい、子ども全員が相続放棄すると第2順位の親へ、親も放棄すると第3順位の兄弟姉妹に相続権が移ります。借金の相続が想定される場合には、次順位の相続人にも影響が及ぶ点に注意が必要です。

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6相続放棄後の注意事項

財産の管理義務

相続放棄後であっても、次の相続人が管理を始めるまでは、自己の財産と同一の注意をもって相続財産を管理する義務があります(民法940条)。特に、相続人全員が放棄して相続人がいなくなった場合は、相続財産清算人の選任を家庭裁判所に申し立てる必要がある場合があります。

生命保険金・遺族年金は受け取れる


相続放棄しても受け取れるもの

  • 生命保険金(受取人が指定されている場合)
  • 遺族年金
  • 未支給年金
  • 死亡退職金(会社の規定による)

これらは相続財産ではなく、受取人固有の権利として受け取れるため、相続放棄しても影響を受けません。ただし、相続税の計算では課税対象になることがあります。

7まとめ


この記事のまとめ

  • 相続放棄をすると最初から相続人でなかったことになる
  • 期限は相続開始を知ってから3ヶ月以内
  • 遺産を使ったり処分すると相続放棄できなくなる(単純承認とみなされるリスク)
  • 相続放棄は原則、撤回できない
  • 次順位の相続人に相続権が移ることに注意
  • 生命保険金・遺族年金は放棄しても受け取れる
  • 期限が迫っている場合はすぐに弁護士に相談

相続放棄は期限を過ぎると原則としてできなくなるため、早めの判断と手続きが重要です。借金の有無の調査から手続きまで、弁護士がサポートいたします。